つまみ細工の奥深く美しき世界に浸る 「クリエイター活動は、自己表現の手段」

2020年12月9日アクセサリー,クリエイター,つまみ細工,デザイナー,製品に込めた想い,起業体験談クリエイター,つまみ細工,女性起業家,起業,起業体験

artE【emmy”H.N.Y】
クリエイター
高橋 絵美 さん

私と彼女が出会ったのは、今から4年ほど前のこと。ある伝統工芸織物に携わる方から、「ものづくり系で、あなたに絶対合う人がいるから」と紹介されたのが彼女でした。同じクリエイターでもあり、なんと下の名前も一緒(名前の漢字までも一緒)であり、好きなアーティスト(マニアックな現代美術アーティスト)まで同じという、なんとも驚くべき多くの共通項があり、私と彼女はすぐに意気投合したのでした。今では、公私共に仲良くさせていただいており、感性の似た私たちは、「前世は姉妹だったのかもね」とお互い言い合うほどです。

そんな彼女の作る作品は、つまみ細工の伝統技法をベースにした、和とも洋とも成りうる洗練されたデザインです。和の要素が強いつまみ細工を「ジュエリー」と呼べる領域にまでに昇華させたのは、彼女の持つ感性と飽くなき探究心の賜物だと思っています。

営業職としての会社員時代を経て、クリエイターとして独立した彼女。
彼女はどのような想いでブランドを立ち上げ、今どこに向かおうとしているのか、いろいろな側面から話を伺いましたのでご紹介します。

artE【emmy”H.N.Y】
クリエイター 高橋 絵美 さん

<経歴>
☞服飾科卒、不動産営業職を経て、2014年からクリエイター活動開始
☞書籍掲載
 『ハンドメイド作家ガイド』、『nid(ニド)vol.46』
☞著書
 『身近な素材を使ったカラーで楽しむつまみ細工』
☞2019年〜埼玉県本庄市ふるさと納税返礼品起用
☞2020年〜株式会社上里建設さま高崎モデルハウスにて製品取扱い開始
 (イベント出展等は割愛)

<現在の主な活動>
☞オンラインショップ販売
☞株式会社上里建設様 高崎モデルハウスにて製品取扱い/オブジェ展示
☞埼玉県本庄市ふるさと納税返礼品として出品
☞イベント出展 ☞各種プロジェクトへの参画

起業までのいきさつは?

もともとは不動産関係の営業職をしていました。その時は、その仕事が「天職だ」と思っていました。“働く男性と同じ目線/同じラインにいたい“という思いが元々強く、負けん気も強かった私は、結婚出産に関わらず、ずっと仕事は続けたいというタイプでした。でも実際に結婚して家庭を持ってみると、激務のために仕事と家庭の両立が困難で次第に限界を感じるようになりました。また、「将来的に子供を持ったらこの仕事に復帰して続けていくには難しい業界だな」と感じ、後ろ髪を引かれる想いで天職だと感じていた仕事を引退したんです。
天職を自ら手放し、ある種「ステイタス」とも感じていた肩書きがなくなってしまった時には、自分の存在価値がわからなくなり、
「果たして私は何者なのか」
とさえ感じましたね(苦笑)。
そんな中、幼少期から身近にあって好きだった「ものづくり」を再開してみようとふと思ったんです。そこからは、ものづくりに没頭する日々を送りました。今思えば、その時期は自分探しの期間だったように思います。

自分を知ってもらう手段》として義母/姉へ自作のものを贈ったり、元々好きだったファッションに合わせたアクセサリーをただひたすら創ったりしていました。そんな時、1つの趣味として軽い気持ちでSNS発信したところ大反響を頂いたんです。当時はまだ今ほどSNSの情報量もハンドメイド作品の売り手も多くなかったということもあると思いますが。
それを機に、「仕事」としての意識が高まっていきました。また、そのタイミングで作品を書籍に取り上げていただいたり、念願の手芸本の著書に携わったりできたのも、起業に向かう大きな転機だったかもしれません。
ー自分が『良い』と思い創ったものを、自分以外の誰かが『良い』と感じ、必要としてくれるー
大袈裟かもしれませんが、そこに改めて自分の存在意義を感じ、すでに起業し第一線で活躍していた親しい友人の後押しも相まって、起業するに至りました。

数あるものづくりの中で、つまみ細工を選んだのはなぜですか?

さまざまなものづくり系の作品づくりを一通り試しましたが、なかなか「これだ」と思うものに出会えませんでした。オリジナリティのある作品を作るには、「何か特別な技術を身に付けたい」と思い始めた頃、たまたま知り得たのが、つまみ細工の美しき世界でした。
「美しい世界だな」と思うと同時に、デザイン性をブラッシュアップすればオリジナリティを出せる「可能性」を感じたのが、この世界に足を踏み入れるきっかけだったと思います。今ではその奥深く美しき世界にどっぷりと浸かっています。

彼女の作る作品は、どれも品よく華やかで魅了されます

クリエイター活動を本格的に始めてからはどう感じていますか?

私にとって、クリエイター活動は、自分が自分であるための自己表現の手段であり、「自分はこんな人間です」という名刺のような役割を持っています。
営業職時代は尖っていた私ですが、元体育会系の負けん気の強さもすっかり封印され、今では己との戦いの日々を送っています(笑)。
天職だと感じていた職業は形を変えましたが、お客さまとのスタンスはどの職業であっても変わることはありません。オーダー受注時には、お客さまの要望や背景を自分なりに噛み砕き、分析/追求し、そしてベストだと思えるものを提案する。そんな営業職最大の醍醐味が、ものづくりに携わる今も変わらず味わうことができるのは本当に幸運なことだと思っています。

ブランド名に込めた想いを教えてください

クリエイター名は、伝統工芸ジュエリークリエイター【artE】です。
創り出すものに芸術性/アーティスティックな意味合いを持たせたかったので、「art」という単語と、そこに自身のイニシャルである「E」を融合し、【artE】としました。造語のつもりで作ったのですが、ちょうどイタリア語の芸術を表す「arte」という単語になりました。
ちょっとミーハーかもしれませんが、もともとイタリアが好きですし、普段身に着けるアクセサリーや、心に強くヒットするファッションアイテムは大抵Made in Italyだったりするので、【artE】というイタリアっぽい名前はとても気に入っています。

ブランドロゴ

事業を展開していて、苦労していることや楽しいと感じる時はどんな時ですか?

<苦労している点>
●創り手は時に孤独です(苦笑)。
●可能な限り制作に時間を費やしたいため、その他の業務が少々滞りがち。(PC作業や事務的なことはどちらかというと好きな方だが時間が限られているため優先順位で後回しに。。。)
●プロモーション力を上げるための策を講じたいけれど、制作を優先してしまいつい後回しになってしまう。

<楽しいと感じるとき>
●自らデザインを考案し創りながら、より磨きをかけ納得して完成させたものを、選んでくださるお客さまがいるということ。
●お客さまからの中には、熱い感謝のメッセージを下さる方や、創り手の人格までもご評価くださる方もおられ、心から嬉しく思います。
●作風や技術を信頼いただき、オーダーメイドでお任せいただける時。
「ああでもない、こうでもない」とお客さまと共に創り上げていく工程は本当に楽しいです。

そのほか、クリエイティブな仲間とのコミュニケーションも格別です。そこから湧いてくる創作意欲やパワーは本当に計り知れません。感性を同じくする創り手さんと一緒に作品を創り上げる工程や完成した瞬間などは、心の底から心が満たされる感じがしますし、「感無量!」という感じです(同志がいるって、素敵なことですよね♡)。

ビジネスを展開する上で、「女性」であることについてどう感じますか?

女性であることにビジネス上で不便を感じたことはありませんが、やはり家庭を持つ女性にとって、「家庭と仕事の両立」は想像以上の難しさを感じます。時間的な制約はきっと男性よりもはるかに多い気がします。家庭も仕事もプライベートも欲張りたい女性という生き物(笑)は、きっとどうにかこうにか時間をやりくりするしかないんでしょうね。それに、そんな風にさまざまなことを同時進行できるのは女性特有の能力だとも思っています。
「欲張りに、やりたいことは全部やるっきゃない‼」という精神でいくしかないですね(笑)。

これからの目標や夢を教えてください

直近にやってみたいと思っているのは、営業職で培った対人ノウハウを活かし、相手の深層心理や人物像/背景を読み解いた上でのデザイン提案、いわゆる、「パーソナルオーダー会」なるものを対人形式で開催してみたいと思っています。
結婚式/成人式/七五三などのメモリアルなシーン向けのアイテムのオーダーとしてやってみたいですね。

将来的な夢は、いくつかあります。

一つ目は、結婚式場や衣裳室とタッグを組んでの商品開発です。願わくば、自身も結婚式の時にお世話になった、明治記念館衣裳室『レセイエ』とのタッグなどができれば最高です←夢見るだけは自由ですよね 笑)

二つ目は、クリエイターとして出版に携わることです。過去、つまみ細工手芸本の著書制作に携わったことがありますが、単発でなくシリーズなどで、コンスタントに出版に携わってみたいです。お客さまのみならず、創り手からも支持されるクリエイターになれればという想いがあります。

三つ目は、海外展開です。今までに何度か海外出展へのお話をいただいたことがありますが、いつか実際に一歩踏み出してみたいと思っています。大好きなイタリア、フランスあたりが理想です。現地の方とコミュニケーション取りながら接客できるよう、言語的なスキルの習得も目指していきたいです。

最後に、今までの人生で心に残った言葉などはありますか?

ものづくりを「仕事」として意識するきっかけをくれた、
「物を創れるって'才能'なんだよ!」
という友人からの言葉です。
それまで自分の中で「才能」というものは、著名人や有名人などのごくわずかな限られた人に備わったもので、自分とはかけ離れた能力のような気さえしていました。しかし、友人のその一言で、
「自分にできること=能力、すなわち才能」
であると、一気に意識改革が起こりました。

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