周りに惑わされることなく、自己を生きていく「喜びを持って生きることの素晴らしさ」

2020年12月9日クリエイター,デザイナー,製品に込めた想い,起業体験談

水墨画あめつち
田中 芙弥佳(たなかふみか)さん

彼女とは、2008年のイタリア フィレンツェでの留学時、同じフラット(ルームシェア用のアパート)だったのがきっかけで出会いました。同じフラットの中には常時入れ替わり立ち替わり6名程度の女性が暮らしていましたが、その中には、彼女のように画家を目指す者、料理人を目指す者、レザー職人を目指す者など、多種多様なメンバーで構成されていました。その時の彼女の印象は、今まで私があまり出会ったことのないタイプで、いい意味でとても独特な雰囲気を持った女性だというイメージでした。おっとりとした話口調や醸し出す雰囲気とは違い、強い芯(信念や想い)を持つ女性だったのを覚えています。彼女は周りに惑わされることなく、自分のやりたいこと、習得したいことに邁進していました。「自分探し」のようなふわっとした気持ちで留学している人も多い中、彼女には明確な志があったのだと思います。留学期間中にフィレンツェで個展を開催していたのですから、驚きです。すごい行動力ですよね。

留学から帰国してからは、彼女の活動はFacebookやInstagramを通じてチェックしていたのですが、それからの彼女の快進撃といったら!日本だけでなく、海外でも活動を始めた彼女は、水墨画の展覧会でも多くの賞を受賞するなど、瞬く間に「水墨画家」の地位を確立して行ったのです。

そんな彼女の今の作品やパフォーマンスを実際に見てみたいとずっと思っていますが、なかなか機会がなく、PC画面を通じて作品を見るばかり。

いつか彼女に肖像画を描いてもらいたいですが、人の内面をも見透かしてしまうような、彼女のその澄んだ瞳に、私の心の底に渦巻く汚い部分もすっかり見透かされてしまいそうで、少し怖いです(笑)。

今回は、そんな水墨画家として活躍中の彼女に、水墨画家として独立するまで、絵を通じて表現したいこと、これからの目標や夢、などをお聞きしましたのでご紹介します。


水墨画あめつち
田中 芙弥佳(たなかふみか)さん

<経歴>
※受賞歴多数のため一部のみ掲載しています
1980年生まれ 
文学部国文学科卒業後、2003年〜会社員としてWEBを中心とした広告企画ディレクションに携わり、同時に水墨画を習い始める。
2008年〜イタリア留学、個展開催
留学からの帰国後、転職活動の合間に、NY個展、パリ、東京、奈良、京都など国内外問わず幅広い地域で活動。
2009~2013年 日本水墨画秀作展「伊勢新聞社賞」「特選」受賞。
2015年画家として独立。
近年は画家としてだけでなく、音楽とのコラボライブパフォーマンスや動物肖像画、企業アートディレクションを含めたデザインなども行う。

<最近の主な活動(2020年後半の活動予定)>
※多方面で活動されており、一部のみご紹介しています
2020/9/5、9/6 大阪にゃんともニャンズマーケット
2020/10/21-23 東京クリエイターズエキスポ(商談会)
2020/11/1-11/30 岐阜マーサ21 ギャラリー展示販売


水墨画に興味を持ち始めたきっかけは?

学生時代からずっと「線」に興味がありました。浮世絵や漫画などの線を見ては「なんてカッコいいんだろう」とずっと感じていました。そして、究極の線の美術といったら何だろうと考えた時に、「水墨画だ」と思ったんです。そこから水墨画を学べる教室を探し始めました。

一年ほど探し回り、やっと一人の先生に出会えました。その先生は、人物画も動物画も素晴らしく、先生の絵を初めて見た時、そのクオリティの高さに感動したのを覚えています。

会社員をやめて画家として独立しようと思ったタイミングはいつどんな時でしたか?

「日本水墨画秀作展」でいくつかの賞をいただいたのが、画家としての独立を意識し始めたきっかけでした。受賞した時点ではまだ画家一本で食べていけるような状況ではありませんでしたが。でも受賞をきっかけに、徐々に水墨画教室を実施したり百貨店などのイベントに出たりと、絵の活動を増やしていき、緩やかに画家の道へ移行していきました。

ご家族は水墨画家の道へ進むことや、今の活動に関してどう思っていらっしゃいますか?

以前は理解してもらえませんでした。賞をいただくまでは、描いていること自体を隠していました。

今となっては家族も受け入れてくれていますが、今でも「就職した方がいいよ」と会社員に戻ることを勧めてきます。水墨画は趣味程度にして会社に入ってほしいと思っているようです(苦笑)。親が思う芸術の道は、不確かで不安定なもので、なにかと心配なのでしょうね。

ブランド名に込めた想いは?

「水墨画あめつち」のあめつちは「雨土」です。水墨画の「水=雨」「土=墨」の意味と、天地の「神羅万象全てから美を見出す」という意味の、両方の意味をかねています。

「水墨画あめつち」のコンセプトや目指しているところを教えてください

私の絵は、祈りであり喜びの表現です。
太陽や大きな木などには自然に手を合わせたくなる感覚ありませんか?その感覚(アニミズム)が私の根本にあります。
動物、植物、神、人間などは、すべて自然の一部であって、大きな命で繋がっているんです。私は、その想いをずっと描き続けています。
伝統的な水墨画の技法を用い、西洋的な表現の様式も取り入れながら、表現したいことを心の赴くまま描いています。


コンセプトは、「美の発見を、日常に」です。
画家には、「絵」という成果物を生み出すことが常に求められます。成果物を生み出すまでの過程は、苦しく厳しいものというイメージがあるかもしれませんが、私にとっては、「絵を描く」という経過や過程はかけがえのない時間で、「絵を描く」というその「行為そのもの」が好きです。私の人生に喜びをもたらしてくれる時間といっても過言ではありません。
私は、自身の作品や活動を通じて、多くの人に「日々喜びを持って生きることの素晴らしさ」を広げていきたいと思っています。また、何気ない日常の中に『美』を見出すきっかけ作りができれば嬉しいです。

動物や人物の肖像画をよく描かれていますよね?何か理由はあるのでしょうか。

「絵」という言語を超えた手段で、見る側に「感情」や「生命感」を再発見してもらいたいという理由からです。動物や人間に宿る「いのち」を描いていきたいのです。何気ない物や、何気なく普段目にする動物や人、そして自分自身の中にも、その「いのち」は宿っています。感覚を研ぎ澄ませ、それを感じとってみてください。私たちが生きているのは、生命感で溢れた素晴らしい世界なのですから。

他の分野とのコラボレーションもされていますよね?

水墨画はアジア特有の伝統的表現ですが、他の分野や異業種と掛け合わせることで新たな展開や表現が可能になります。コラボレーションするときはいつも興味深いですね。コンテンポラリーダンスや、音楽とのコラボレーションなど、コラボレーション表現は多岐にわたります。
パフォーマンスの際には、等身大サイズで人物などを中心に、筆で一気に30分ほどで描き上げています。

寺社とのコラボ:水墨画ライブペインティングの様子。

事業を展開していて、苦労していることや楽しいと感じる時はどんな時ですか?

画家は絵を描いていればいいというわけではありません。自分の作品や活動を売り込む必要もあります。自分がこれまで関わったことのない、知らない業界への営業は取っ掛かりがわからず、苦労していますね。。。

でも、制作活動全般は、常に新たな技術や美しさの発見があり、私にとってかけがえのない時間です。特に動物の肖像画を描く際には、飼い主さんと動物の「愛情の交流」が垣間見えて、こちらまで幸せな気持ちになります。オーダーいただき新しい世界を描くときも、知らない世界の美しさの発見があり、とても楽しいですね。

ビジネス上、「女性」であることについてどう感じていますか?

女性であることのメリットは、描く対象物である人物や動物に、過度に警戒されないことです。特に動物に警戒されにくいのは、性別が関係しているように思います。
その反面、マイナス面もあります。肉体の体力差はもちろんですが(意外と画家も体力勝負なので)、「女だからどうせ稼がなくても良いだろう」という差別のような発言を受けることもあります。また、セクハラや付き纏いのようなことも何度かありました。女性軽視の発言や行動には悲しくなりますが、うまくはね退け、女性であることのメリットの方を大切にしていきたいです。これからの社会、女性への偏見がなくなり、もっと女性が活動しやすい社会になっていくといいですよね。

座右の銘や今までの人生で心に残った言葉などはありますか?

“Vivir bien es la mejor venganza."
「優雅に生きることが最良の復讐である」

これは、スペインのことわざです。
どんなひどいことを言われても、されても、柳に風と受け流し、「知ったことか」と楽しく優雅に生きていくことが、最良の復讐なのだということです。
私にとって、日々周りに惑わされることなく、自己を生きていく強さを思い出させてくれる言葉です。

これからの目標や夢を教えてください

いつか、国際的な企業様の広告のお仕事などをしてみたいです。そして、「水墨画あめつち」のコンセプト「美の発見を、日常に」を世界に広めていけたらと思います。


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